障害福祉サービスのM&Aにおける「株式譲渡と事業譲渡」

― 2026年改定後の違いとDDで確認すべきポイント(行政書士が解説)

障害福祉サービスのM&Aでは、 「株式譲渡」か「事業譲渡」か によって、 買収後の運営リスクが大きく変わります。

特に2026年6月以降は、 新規指定に減算が適用される ため、 買い手の判断に大きな影響を与えることが確実です。

本記事では、障害福祉サービスのM&Aにおける 株式譲渡と事業譲渡の違い を整理し、 DD(デューデリジェンス)で確認すべきポイントを解説します。

※本記事は「障害福祉M&A向けDDシリーズ(全7回)」の第5回です。
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■ 1. 株式譲渡と事業譲渡の基本的な違い

まず、両者の違いを簡潔に整理します。

● 株式譲渡(既存扱い)

  • 法人ごと引き継ぐ
  • 指定はそのまま継続
  • 利用者・職員・契約関係も継続
  • 過去のリスクもすべて承継
  • 2026年以降も減算なし(既存扱い)

● 事業譲渡(新規扱い)

  • 事業だけを引き継ぐ
  • 指定は新規取得が必要
  • 利用者契約の再締結が必要
  • 職員の雇用契約も再締結
  • 2026年以降は新規減算の対象

■ 2. 2026年改定後の最大のポイント

事業譲渡は「新規扱い」になり減算される

2026年6月以降、 新規指定の事業所には 減算が適用 されます。

そのため、事業譲渡は 買い手にとって収益性が下がる選択肢 になります。

一方、株式譲渡は既存扱いのため、 減算の影響を受けません。

■ 3. 買い手が「株式譲渡」を強く希望する理由

2026年以降、買い手は以下の理由で 株式譲渡を強く希望 するようになります。

  • 新規減算を避けたい
  • 利用者契約の再締結を避けたい
  • 職員の再雇用手続きを避けたい
  • 運営の継続性を保ちたい
  • 収益性を維持したい

しかし、株式譲渡には大きな注意点があります。

■ 4. 株式譲渡の最大のリスク

過去のリスクをすべて承継する

株式譲渡は法人ごと引き継ぐため、 以下のリスクもすべて引き継ぎます。

  • 加算返還リスク
  • 記録・計画の不備
  • 体制届との不一致
  • 行政指導歴
  • 契約書・規程の不備
  • 職員体制の問題

つまり、 DDの重要度が最も高いのは「株式譲渡」 です。

■ 5. 事業譲渡のメリット・デメリット

● メリット

  • 過去のリスクを引き継がない
  • 必要な事業だけ取得できる
  • 法人の負債を承継しない

● デメリット

  • 新規指定が必要(2026年以降は減算)
  • 利用者契約の再締結
  • 職員の再雇用
  • 運営の継続性が不安定

2026年以降は、 事業譲渡のデメリットが大きくなる と考えられます。

■ 6. DDで確認すべきポイント(株式譲渡の場合)

株式譲渡では、以下の確認が必須です。

  • 加算算定の妥当性
  • 記録・計画の整合性
  • 体制届との一致
  • 行政指導歴
  • 契約書・規程の法令適合性
  • 職員体制・資格要件
  • 過去の返還リスク
  • 利用者対応の実態

株式譲渡は「過去のすべてを承継」するため、 DDの範囲が最も広く、深くなります。

■ 7. DDで確認すべきポイント(事業譲渡の場合)

事業譲渡では、以下の確認が中心となります。

  • 事業の実態(支援の質)
  • 職員体制の安定性
  • 利用者の継続利用の見込み
  • 契約再締結のリスク
  • 新規指定の要件
  • 減算の影響

事業譲渡は「過去のリスクを承継しない」ため、 将来の運営リスクの評価が中心 になります。

■ 8. 行政書士が関わる価値

→ 株式譲渡・事業譲渡の両方で“法令・体制・記録”を横断的に確認できる

  • 税理士 → 加算・記録が分からない
  • 社労士 → 計画・記録の整合性が判断できない
  • 弁護士 → 実務の運営リスクが分からない
  • コンサル → 法令の裏付けが弱い

行政書士は、 法令・契約・体制・記録を総合的に確認できる唯一の専門職 です。

そのため、障害福祉のM&AにおけるDDは 行政書士が最も適した立場にあります。

■ まとめ:2026年以降は「株式譲渡」が主流になる

2026年6月以降は、 新規指定に減算が適用されるため、 事業譲渡の魅力が大きく低下 します。

その結果、 買い手は 株式譲渡を強く希望 するようになります。

しかし、株式譲渡は 過去のリスクをすべて承継する ため、 DDの重要性がさらに高まります。

■ 障害福祉サービスのM&Aに関するご相談

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  • 株式譲渡・事業譲渡の違い
  • 返還リスクの確認
  • 記録・計画の整合性チェック
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