(行政書士が解説)
※本記事は「障害福祉M&A向けDDシリーズ(全7回)」の第1回です。
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障害福祉サービスの事業承継・M&Aは、近年増加傾向にあります。 特に2026年6月以降は新規指定に減算が適用されるため、 既存事業所の買収を検討する法人が急増すると見込まれています。
しかし、障害福祉のM&Aには、一般の事業とは異なる 固有のリスク が存在します。
そのため、買収前に事業の実態を正確に把握する デューデリジェンス(DD) が不可欠です。
本記事では、障害福祉サービスのM&Aにおいて なぜDDが必要なのかを、行政書士の視点から整理します。
■ 1. 小規模でも返還リスクが数百万円規模になるため
障害福祉サービスは「加算」によって収益が大きく変動します。 しかし、加算の算定要件は複雑で、記録や体制との整合性が求められます。
そのため、以下のような不備があると、 過去に遡って返還が求められる ことがあります。
- 記録が薄い
- 個別支援計画と実際の支援が一致していない
- 会議記録が不足している
- 体制届と実態が異なる
- 研修記録が整っていない
返還額は小規模でも 200〜600万円、 場合によっては 700〜1,000万円 に達することもあります。
買い手にとっては、買収後に突然返還を求められることは 大きなリスクとなります。
■ 2. 記録・計画・体制の整合性が事業の“質”を左右するため
障害福祉サービスは、 記録・計画・体制・契約 が一体となって運営される事業です。
そのため、以下のようなズレがあると、 行政指導や加算停止につながる可能性があります。
- 個別支援計画が形骸化している
- モニタリングが実施されていない
- 会議記録が不足している
- 支援記録の質が低い
- 体制届と実態が一致していない
DDでは、これらの整合性を総合的に確認し、 事業の“質”と“リスク”を評価します。
■ 3. 株式譲渡と事業譲渡でリスクが異なるため
障害福祉サービスの承継方法には、主に以下の2つがあります。
- 株式譲渡(既存扱い)
- 事業譲渡(新規扱い・減算対象)
2026年6月以降は、 新規指定が減算されるため、買い手は 株式譲渡を強く希望 します。
しかし、株式譲渡は法人ごと引き継ぐため、 過去のリスクもすべて承継します。
そのため、買い手は 「中身を正確に把握したい」 と考えます。
DDは、この“中身の可視化”を行うための重要な工程です。
■ 4. 行政書士しか確認できない領域があるため
障害福祉のDDでは、以下の領域を総合的に確認する必要があります。
- 加算算定要件
- 記録・計画の整合性
- 体制届の適合性
- 契約書・運営規程の法令適合性
- 行政指導リスク
- 職員体制・資格要件
これらは、税理士・社労士・弁護士・コンサルでは 部分的にしか確認できません。
行政書士は、 法令・契約・体制・記録の全てを横断的に確認できる唯一の専門職 です。
そのため、障害福祉のM&AにおけるDDは 行政書士が担うべき領域と言えます。
■ 5. DDを行うことで買い手の意思決定が明確になる
DDの目的は、 「買うべきかどうか」を判断するための材料を提供することです。
具体的には、
- 返還リスクの有無
- 行政指導の可能性
- 記録・計画の質
- 職員体制の妥当性
- 改善に必要なコスト
- 買収後の運営の見通し
これらを明確にすることで、 買い手は安心して意思決定ができます。
■ まとめ:障害福祉のM&AにDDは不可欠
障害福祉サービスのM&Aは、 一般の事業とは異なる固有のリスクを抱えています。
- 加算返還リスク
- 記録・計画の整合性
- 体制届とのズレ
- 行政指導リスク
- 株式譲渡特有のリスク
これらを事前に把握するためには、 専門的なDDが不可欠 です。
行政書士は、 法令・契約・体制・記録を総合的に確認できる専門職として、 障害福祉のDDに最も適した立場にあります。
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