(行政書士が解説)
障害福祉サービスのM&Aでは、 事業の実態を正確に把握するためのデューデリジェンス(DD) が不可欠です。
特に2026年6月以降は、新規指定に減算が適用されるため、 既存事業所の買収を検討する法人が増えると見込まれます。
しかし、障害福祉のDDは一般のM&Aとは異なり、 加算・記録・体制・契約・法令適合性 など、 複数の領域を横断的に確認する必要があります。
本記事では、障害福祉サービスのDDで 必ず確認すべきポイントの全体像 を整理します。
※本記事は「障害福祉M&A向けDDシリーズ(全7回)」の第2回です。
■ 1. 加算算定状況の確認(返還リスクの中心)
障害福祉サービスの収益は、 基本報酬よりも 加算の有無 に大きく左右されます。
そのため、DDでは以下を重点的に確認します。
- 加算の算定要件を満たしているか
- 記録・計画との整合性
- 会議記録・モニタリングの実施状況
- 体制届との一致
- 過去の算定履歴
- 返還リスクの有無と推計額
加算の不備は、 数百万円規模の返還につながる ことも珍しくありません。
■ 2. 記録・計画の整合性(支援の質と法令遵守)
障害福祉サービスは、 個別支援計画 → モニタリング → 会議 → 支援記録 という一連の流れが求められます。
DDでは、以下の整合性を確認します。
- 個別支援計画の内容と実際の支援が一致しているか
- モニタリングが適切に実施されているか
- 会議記録が残されているか
- 支援記録の質(具体性・継続性)
- 計画更新のタイミング
これらが不十分な場合、 加算停止や行政指導につながる可能性があります。
■ 3. 体制・人員配置の確認(資格要件・配置基準)
体制届と実態が一致しているかは、 DDにおける重要な確認ポイントです。
- 管理者・サービス管理責任者の資格要件
- 従業者の配置基準
- 研修の受講状況
- 勤務実態とシフトの整合性
- 兼務状況の妥当性
体制の不備は、 加算停止・返還・行政指導 のいずれにも直結します。
■ 4. 契約書・運営規程の法令適合性
契約書・運営規程は、 事業運営の“土台”となる文書です。
DDでは以下を確認します。
- 契約書の内容が最新の法令に適合しているか
- 運営規程の内容が実態と一致しているか
- 重要事項説明書の整合性
- 利用者との契約手続きの適正性
特に、法改正に伴う更新が行われていないケースは多く、 買い手にとってはリスクとなります。
■ 5. 行政指導歴・監査対応の状況
行政指導や監査の履歴は、 事業の健全性を判断する重要な材料です。
- 過去の行政指導の有無
- 是正内容と対応状況
- 監査の指摘事項
- 未対応の課題の有無
これらは、買収後の運営に直接影響します。
■ 6. 職員体制・運営体制の実態
書類だけでは分からない“現場の実態”も重要です。
- 職員の定着率
- 支援の質
- 管理者・サビ管の関与度
- 事業所内のコミュニケーション
- 利用者対応の状況
DDでは、ヒアリングや現地確認を通じて “書類では見えない部分”を把握します。
■ 7. 総合評価(買収判断の材料)
最終的に、DDの目的は 「買うべきかどうか」 を判断する材料を提供することです。
- 返還リスクの総額
- 行政指導リスク
- 記録・計画の質
- 職員体制の安定性
- 改善に必要なコスト
- 買収後の運営の見通し
これらを総合的に評価し、 買い手の意思決定を支援します。
■ まとめ:DDは“事業の実態を可視化する”ための重要な工程
障害福祉サービスのM&Aでは、 加算・記録・体制・契約・法令適合性など、 複数の領域を横断的に確認する必要があります。
DDは、これらのリスクを事前に把握し、 買収後のトラブルを防ぐための重要な工程です。
行政書士は、 法令・契約・体制・記録を総合的に確認できる専門職として、 障害福祉のDDに最も適した立場にあります。
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▶ 第3回:障害福祉サービスのM&Aにおける「加算DD」
https://endoh-office.com/dd-ma-kasan/

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